WE DIDN’T CAUSE IT:私たちが原因だったのではない

A solitary seagull perched on a streetlight with a dramatic dark sky background.

この打ち消しの言葉は、私たちが(誰々が強迫的に酒を飲むようになった/飲むのは自分のせいである)と考える傾向を持つことを示唆していると思われます。

このテーマに関する私自身の体験は『【エッセイ】父と私とビッグブック』の中で少し書きましたが、私ももれなく(父が普通にお酒を飲むことができない理由は私にあるのだ)と考えました。父からそう言われたわけではありません。そう考えるようになったのは、父の飲み方が私にとって全くもって理解不能であったからです。どれだけ努力しても共感も納得もできないことが繰り返されると、人は疲弊します。父の行動を受け止めるために、私には何かしらの理由が必要だったのです。

一方、アルコホーリクが(飲酒の原因は私たちにある)とするような言動を直接的・間接的にとることも、私たちの多くが経験することです。理解不能な行動に思い悩み、原因や理由を求めるのは本人も同じであるのだと想像します。それが自己防御的な言い訳であれ本気の発言であれ、こうした訴えはアルコホーリクと私たちの間を行き来するようになり、次第に事実と虚構を引き離すことが難しくなります。私たちがこしらえる原因や理由が間違っている限り、この堂々巡りは続きます。

しかしながら、アラノンはアルコホリズムという病気の原因について深く追求しません。How Al-Anon Worksにおいても、本章の中で「アルコホーリクが酒を飲むのは、アルコホリズムを患っているからである」と述べているに過ぎません。

けれどもアルコホリズムがどのような病気であるのかを知ることは、この堂々巡りから抜け出すためのヒントになりそうです。その糸口を掴むべく、次の記事では「三つのC」の二つ目であるWE CAN’T CONTROL IT(私たちはコントロールできない)に焦点を当てたいと思います。