子どもの頃、皆さんの周りに物語を聞かせてくれるような人はいましたか?
私には一人、思い当たる人がいます。それはうちの裏手に住んでいた子ども好きのおばあさんで、遊びに行くと、いつもそこに誰かしら近所の子どもがいました。みんな「おばあちゃん」と呼んでいたけれど、おそらく当時まだ50代、神津島の生まれで、時おり思い出したように帰ってくるハイカラなおじいさんもいました。
そのおばあちゃんの家で何をして遊んでいたかと言えば、物語を聞かせてもらっていたのです。物語の中には、わらべ歌のようなものも多くあったと記憶しています。物語や歌の内容はともかく、子どもたちは場面に合わせておばあちゃんがやるお決まりの顔や仕草を見るのが楽しみで、何度聞いても毎回同じところで大爆笑していました(今思うとすごい技です)。
今やその物語も歌もほとんど忘れてしまいました。もう一度聞くことが叶うなら、書き残しておきたいと思う。お酒が好きだったおばあちゃんは、私が日本を出た後まもなく肝硬変で亡くなりました。
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どの国・地域にも伝承されてきた物語があります。その主な役割は、後世に知恵と教訓を残すこと。
今回紹介するアーネスト・カーツの著書 THE SPIRITUALITY OF IMPERFECTION は、AAの「スピリチュアリティ」を論じる本でありますが、こうした説話からの引用が何と百種以上も掲載されています。
その中には宗教的な師と弟子の物語、とりわけ、答えを知りたくてうずうずしている弟子とそれをのらりくらりとかわす師の会話劇が多く登場します。そこに重なるのは、私自身の姿。プログラムの真髄とも言える「スピリチュアリティ」を掴むべく本書を読み進める私の欲求もまた、これらの物語に次々といなされていくからです。
しかしもちろん、著者の意地悪でこうした間接的なアプローチが試みられているわけではありません。むしろ本書に終始貫かれているのは、物語が真理を照らす力を信じる筆者の温かい目線です。
本書は三つの部から構成されています。
第一部では、そうした沢山の物語を媒体として「スピリチュアリティ」の本質を明らかにしていきます。
第二部では、AAの歴史やアルコホーリクたちの物語を紐解きながら、アルコホーリクス・アノニマスが発見した「スピリチュアリティ」の実体について考えます。
第三部では「スピリチュアリティ」が人々に身をもって受けさせる経験を挙げ、やはり様々な物語と事例を通して、それらの現象を具体的に見つめます。
imperfectionとは不完全性のこと。「スピリチュアリティ・オブ・インパーフェクション」とは、不完全な自己という痛みから逃れられないことと、その痛みの中にある癒しの可能性の両方に語りかける絶え間ない物語であると、筆者は本書の中で述べています。
これは、自分が何とかしなければならない立場に長い期間置かれ、そうでない自分を許すことのできない多くのアラノンにとっても、希望の物語です。
A Note to the Reader
An Introduction The Story of SpiritualityPart One
THE ROOTS OF WISDOM
1 The Fragrance of a Rose
2 Beyond the Ordinary
3 The Reality of Limitation
4 A Sense of Balance
5 Experiencing the Spiritual
6 Shared Vision, Shared HopePart Two
THE DISCOVERIES OF ALCOHOLICS ANONYMOUS
7 Spirituality Is Essential … But Different
8 Not Magic, but Miracle
9 An Open-Ended Spirituality
10 A Pervasive SpiritualityPart Three
EXPERIENCING SPIRITUALITY
11 Release
12 Gratitude
13 Humility
14 Tolerance
15 Forgiveness
16 Being-at-HomeNotes
Kurtz, E. & Ketcham, K. (1992). THE SPIRITUALITY OF IMPERFECTION
全304ページ。ペーパーバック版は3000円程度で出回っています。
便利なKindle版もあります。
https://www.amazon.co.jp/Spirituality-Imperfection-Storytelling-Meaning-English-ebook/dp/B000SEIL3G/ref=tmm_kin_swatch_0
