アラノンの第九ステップ(3)家族の再出発

Two wading birds stand in shallow water

引き続きステップ9。ここからは、埋め合わせの実際的なやり方について考えます。
重要な2つの方式「直接」「機会あるたびに」、またその条件「その人達、または他の人々を傷付けない限り」は、すでにステップ9の文言に記されています。

直接とは、二つの物の中間に何も介在させずに対象に接すること。
ステップ9においては、面と向かって行う埋め合わせを意味します。
別の手段として挙げられる「電話」「手紙」はそれぞれ空間、媒介物を間に挟むところ、前者は直接の埋め合わせであり、後者はそうでないと考えられているようです。
物理的な問題等により対面が難しい場合、電話は有効な手段です。今はZoomや無料のコミュニケーションアプリといった便利なツールもありますね。

もちろん「手紙」が適した手段となることもあると思う。私は他界している人には埋め合わせの手紙を書きました。
また「傷つけた人のリスト」に自分の名前を加え、自身への埋め合わせとして自分宛ての手紙を書いた、というメンバーの経験を耳にしたこともあります。

「機会あるたびに」の原語 wherever possible は、「それが実行可能である、許可されている、または機会が与えられているあらゆる場所や状況において」という意味であり、何らかの行動を可能な限り広く適用する必要性を強調したい時に使用されるフレーズです。

if possible(もし可能であれば)を引き合いに出して説明すると、if possible はある特定(一度きり)の状況を指すのに対し、wherever possible は現在と将来にわたる状況を指し、習慣、指針、繰り返される行動を意味します。

相手の連絡先がどうしても分からない場合、できる準備をしておくことでその機会に備えます。

こうして機会あるたびに、直接埋め合わせをする努力をし続けていくわけですが、冒頭で見た通りこれには「その人達、または他の人々を傷付けない限り」という条件がありました。

埋め合わせをすることが相手や他の人を傷つける。それにはどのような状況が考えられるでしょうか?

一つはっきりと思い浮かぶのは、埋め合わせによって相手が何かしら新しい事実を知ることになる場面です。
その事実は相手を傷つける原因になり得るから埋め合わせはできない。そう決めてしまう前に、例えば以下のように自問しつつ、スポンサーと一緒に埋め合わせの内容を検討することもできます。

・それは相手が知る必要のある情報であるのか?
・それを相手に伝える動機は何か?
・それを伝えずに埋め合わせをする方法はあるのか?

実は相手はその事実を知っている、あるいは詳しく知りたいと思っている可能性も大いにあると思う。埋め合わせの最中に話が予期せぬ方向に発展することもあります。
いずれにしても相手の意向に真摯に向き合い、自分の都合ではなくその人にとっての利益を重んじるほどその埋め合わせはやり易いものになる。それが多くのメンバーの経験です。

そしてもう一つ思い浮かぶのは、埋め合わせによって相手、または他の人が苦しい立場や不利な状況に追い込まれる可能性がある場面。例えば金銭的・法的な問題が絡むような事態が想定されます。そのようなケースにおいては同じような経験を持つメンバー、必要であれば専門家にも積極的に相談し、分別を持って慎重に進まなければなりません。

実務的な話が多くなりましたが、ステップ9では特に現実的かつ常識的な考えや行動が求められます。独断で無理やり推し進めず、先延ばしせず、「必要なものは与えられる」プロセスを信頼することが大切だと思っています。