ステップ9:その人達、または他の人々を傷付けない限り、機会あるたびに直接埋め合わせをした。
STEP NINE: Made direct amends to such people wherever possible, except when to do so would injure them or others.
遂にステップ9まで来ました。これまではただのコンセプトだった埋め合わせを実際の行動に移す時です。
いきなり話が変わりますが・・・私の場合、埋め合わせはされる方の体験から始まりました。私がアラノンのプログラムを実践するようになる前の話です。逆の立場からの経験も何かの役に立つかも知れない。そう思い、私たち自身の埋め合わせについて考える前にこの記事を挟むことにしました。
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アクティブ・アルコホリズムの渦中にいる家族にとって、アルコホーリクのソブライエティは最大の目標です。ところがその夢が現実になると、家族は大きな落差を感じる。これはよくある状況として知られ、また多くのアラノンの経験でもあります。
否認が非常に強かった私は、夫が飲んでいる時も、飲まなくなった時も、自分が本当はどう思っているのかが分からなかった。ロイスのストーリーが示すような「嫉妬心」や「劣等感」はあまり現れなかったと記憶しています。
それでも、初めて埋め合わせをされた時の感情は、今でもはっきりと覚えています。とりわけそれがとても複雑なものであったことを。
される側にとって、埋め合わせは通常予期せぬ出来事であると考えます。しかし私もそうであったように、パートナーにおいては薄々気づくところかも知れません。
遅かれ早かれそのアメンズとやらを聞かされるのだろうな・・・という程度の感覚だったかと思います。そうして間もなく本当に、私は夫の埋め合わせと対峙することになりました。
「これでいよいよ過去を水に流さなければならなくなってしまった」
これがその時の私の頭に浮かんだ考えでした。夫の回復を喜ぶよりも、自分の不幸の言い訳が使えなくなることを憂うとは。家族の病は色々な形をとって表れるものです。夫の過ちは私にとっての切り札であり、それを失うことは、私が自分の責任を自分で取ることを意味しました。
もちろん、このような難しいタスクを実行している夫に感服し、ありがたく思ったことも嘘ではありません。先に述べた通り、それはとても入り組んだ気持ちだったのです。
そして最後に、夫からある質問をされました。
“Is there something I can do to make this right?”
「この状況を正すために私に何かできることはありますか?」
謝罪を受けるだけでなく、突然自分に向かって思いも寄らぬ選択肢が投げられ、私は戸惑いました。
前回の記事『アラノンの第八ステップ(2)未熟さの少し先へ』で「make amends(埋め合わせをする)」の意味について考えた際、以下の定義を参照しました。注目してみると、上の質問と同じ内容です。
make amends (to somebody/for something):
Longman Dictionary
to do something to show you are sorry for hurting or upsetting someone, especially something that makes it better for them
(誰かに/何かに対する)償いをする:
誰かを傷つけた、または憤慨させたことに対して申し訳なく思っていることを示すために、特に相手のために状況を改善させる何かをする
状況が正される、または改善される。それは、何かが変わり、前に進むということです。私はそれが怖かった。できればこの慣れ親しんだ場所に留まっていたい。
そして当時の私は、夫の質問に何も思い浮かばないというような態度を装い、かろうじて埋め合わせに対する感謝の言葉を伝えたのでした。
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それから13年。振り返ると、埋め合わせによって家族の再生が始まったことがわかります。実際には、私の方が動き出すまでにもうしばらくの時間がかかりました。それでも、あの時には目の前に差し出されてもどうすることもできなかった「自由な選択」は、確かに私の中に残りました。そうしてそれが今日へとつなげてくれたものであると思っています。
それでは次回、視点を元に戻し、あらためて前回予告した内容「『相手のために状況を改善させる何か』とは何か?」について考えましょう。
