アラノンの第八ステップ(1)責任の行方

leafless tree under blue sky

ステップ8:私達が傷付けたすべての人の表を作り、そのすべての人達に埋め合わせをする気持ちになった。

STEP EIGHT: Made a list of all persons we had harmed, and became willing to make amends to them all.

自分の行動や態度を正当化しない、周りのせいにしない、過去の過ちの言い訳をしない。そうして「自分の誤りを認める」ということは、すなわち「自分の責任を負う」ことである。

How Al-Anon Works がそう述べていることを、ステップ5の記事『アラノンの第五ステップ(1)家族の責任』の中で取り上げました。

しかし、家族の責任には続きがあります。ここに留まる限り、私たちは責任を負い続けることになってしまう。それではこれまでの生き方と何ら変わりはありません。

ところで責任と言うと、スイスでお世話になったユダヤ人の女性Мのことを思い出します。
Мはアメリカ大陸の先住民族の文化に造詣が深く、サンダンスの儀式に参加するために現地に赴いたり、自宅の庭でスエットロッジを行ったりしていました。スエットロッジは煙が出るので、近所の住民に通報されてしばしば警察沙汰になることも。
またМはクラニオセイクラル・セラピーの療法士であり、私も何度か施術を受けたことがあります。代替療法はスイスでもかなり高額ですが、彼女は私が当時もらっていた時間給と同じ額しか受け取ろうとしませんでした。

ある時、Мに「私の責任」について尋ねたことがあります。
話の前後はすっかり忘れてしまったけれど、「もしも自分が誰かを深く傷つけてしまったら」ということに対する責任の話であったと記憶しています。

「自分の行いが相手を傷つけたことに対し、申し訳なかったと直接謝ることよ」

Мはそう言いました。
その答えがあまりにシンプルかつ現実的なものであったことに、私は少なからず驚きました。
いわゆるスピリチュアルな人であった彼女のことを、現実離れしているとでも思っていたのかも知れません。同時に、直接的に謝罪をするなんて、私には難しすぎるタスクであると感じたことを覚えています。

これはアラノンプログラムを知るに至る前の話ですが、シンプルで現実的であるところは、私たちのスピリチュアルなプログラムも同じですね。

私たちは、自分が負う必要のない誰かの責任を手放しました。そして自分の誤りを認めることによって、自分の責任を負いました。ここで、その責任をしっかりと果たす時が来たわけです。ステップ8はその準備に当たります。

さて、棚卸しの形式においてもそうであったように、傷つけた人の表についても一番詳しく書かれているのは Path to Recovery です。

ところが、多くの場合ステップ4を終えた時点で傷つけた人の表ができている、と書かれてはいるものの、Path to Recovery の質問に答える形の棚卸しにしても、Blueprint for Progress Al-Anon’s Fourth Step Inventory にしても、棚卸しの中でこの表を作るような指示はありません。そのため、後にこの表を作ることを念頭に置きながら、あるいは何らかの表を用意した上でステップ4&5を進めると、ステップ8がよりやり易くなるのではないかと思う。

またメンバーの経験として、以下のようなやり方が紹介されています。

・「傷つけた人」「その人との関係性」「私の行為」「埋め合わせの理由」「私の意欲」という見出し列の表を作り、棚卸しの中身から移しつつ、新しいものも埋めていく
・相手を傷つけたことによる罪悪感であるのか、相手から傷つけられた恨みであるのか、自分の過剰な責任感によるものかを注意深く考えながら「今も不快感を抱いている相手」を書き出す
・「傷つけた人」のリストの先頭に自分の名前を書く

自分の名前をリストに加えるように勧められるという話は、ミーティングでも時おり耳にします。それが助けとなるメンバーが数多くいることは、確かに事実なのだと推察します。
しかし、私の経験ではなかったこともまた事実です。

私がステップ8を踏んだ時には勧められなかったこともあり、その時に自分の名前を書いてみたらどうであったかは今さら分かりようがないわけですが・・・少なくとも現時点ではその必要性を感じていません。
私が私自身に与えた傷は、自分の責任を一つ一つ果たすことによって癒されていったように思うからです。

それでは次回、ステップ8の後半部分に注目してみましょう。