アラノンの棚卸し専用のワークブック
まずは、前回の記事の終わりに言及した Blueprint for Progress Al-Anon’s Fourth Step Inventory について簡単に。
この書籍は、以下の章で構成されています。
・棚卸しの目的
・22種の主題の章(恐れ/怒り/コントロール/コミュニケーション/責任/恥/信頼/成熟/性など)
・性格の特徴
・チェックリスト
・まとめ
章は以下の節を含みます。
・章についての説明
・省察(メンバーの経験や他の書籍からの引用)
・質問
・知見(質問から何を得たかを書き込む)
「性格の特徴」の章はさらに、対極にある特性をペアにした42種の性格の特徴(分別がある⇔理不尽/愛情深い⇔無関心/正直⇔不正直/謙虚⇔傲慢/リラックスしている⇔緊張しているなど)に分類され、各特徴に対する質問があります。
アラノンの棚卸しが広大で詳細な訳
本の中身を見てまず驚くのは、やはりその範囲の広さと質問の量です。ざっと合わせた質問の数は500程度。
これだけのボリュームがあるワークに取り組むには、かなりの時間と労力を要します。その上、モチベーションが保たれ続けなければなりません。こっちの方が棚卸しそのものよりも高いハードルになってしまう・・・なんてことも無きにしも非ず。
さらには却って焦点が合いずらいという側面も。なので場合によっては状況に合わせて主題や質問を絞る、といった臨機応変さや割り切りが必要かも知れません。
ところで、この書籍に代表されるアラノンの棚卸しは、なぜこれほどまで細かいのか。
アルコホリズムは(ここでは種々の「主題」に纏められている)領域に影響を与え、その影響は「性格の特徴」として表れます。
その領域は幅広く、性格の特徴もさまざま。イントロダクションで述べた「アラノンの多様性」に関連するのはこの部分のことです。
そのダイバーシティをできる限りもれなくカバーしようとした結果が、「この分厚いワークブック」なのだと推察します。
アラノンに来たばかりのメンバーにとって、自分がどの領域に問題を抱えているのかは自明ではありません。考えてみたこともない主題に取り組んでみて、初めて自分の問題に気づくこともあるでしょう。
つまりワークブックが膨大であるのは、それを隈なくやらなければならない、という意味ではなく、必要に応じて使うことができる、という意味であるのだと考えます。
良いところも悪いところも
もう一つ、アラノンの棚卸しについて特筆すべきは、いろいろな書籍のあちらこちらに「棚卸しでは自分の良いところも見つけなさい」と書かれている点。
後続のステップの文言からも明らかなように、棚卸しで私たちが見つけようとするものは「自分の誤りの正確な本質」「性格上の欠点」「自分の短所」であります。
数年前まで、私はこの点に対して違和感を抱いていました。内心、それは12ステップではないだろう、などと批判的に捉えていたのです。けれど今は少し違った見方をしています。
アルコホリズムと共に生きる家族がこれまで良かれと思い、あるいは必要に迫られて行ってきたこと、またその役割に徹する間に培われた考え方や態度は、一見それほど悪いものではありません。多くは辛抱強く献身的で、責任感の強い人として映ることでしょう。
How Al-Anon Works の『ロイスの物語』の後に、ロイス自身のステップワークに関するごく簡潔な記述が収録されています。
ステップ4のところでは、ロイスは自分が利他的に行っていると思っていたすべての物事は自分の思い通りにするための完全なる合理化であったとを知り、とてつもなく大きなショックを受けた、というようなことが書かれています。
多くの家族には、がんばってきた自分が利己的であると知るや否や、今度は自分のすべてを否定しようとする傾向があります。けれどそれもまた、私たちの本当の事実ではありません。
自分だけが正解で欠点を見ようとしないのも、自分の欠点ばかり注目して良いところを見ることができないのも、ルートが違うだけで目的は同じ。一番認めたくない「何か」からの守りです。
棚卸しで見つけようとするもの
自分の思い通りにしようとする私たちの自己中心性は、怒り、恐れ、否認などのネガティブな力だけでなく、希望、善意、正義心などのポジティブな力の中においても働いています。それを探り当てるには、私たちが本当は何に怒り、何を恐れ、何を隠しているのか、何を望み、誰のためを思い、何を正しいと信じているのかを知る必要があります。そしてそれらが何を引き起こし、誰を傷つけたのかを。
次のステップでは、自分が理解する良い悪いでは計るのが難しい「自分の誤りの正確な本質」を、神と、自分自身と、一人の人間に対して認めます。
それでは、次回からステップ5に入っていきましょう。
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時おり、夫の欠点が私に向かって炸裂しているかのように見える出来事が起こります。そしてそういった時ほど、私が前に動かされることはありません。
恐らく私のパターンが蔓延していて、派手に飛ばされる必要がある時なのだと思います。
誰かの欠点が自分の役に立つという不思議。
