これまでにHow Al-Anon Worksに沿って書いた記事は、合わせて30本になります。当初はここへ辿り着くまでにこんなに多くの記事が必要になるとは思っていませんでした。まるで長い長いステップ1のトンネルのようでしたね。それでも一歩一歩確かに進みながら、アルコホリズムの現実に向き合いました。
私たちは誰かのアルコホリズムを自分の力で変えることはできません。これまでもずっとそうであったし、この先もずっとそうであるでしょう。希望には「明るい見通し」という意味があります。つまり、ことアルコホリズムに関しては、私たちに希望はないのです。でもそれは「アルコホーリクは決して回復しない」といった意味のことを指すわけではありません。先のことは誰にもわかりません。けれど私たちが「アルコホーリクが変わること」に望みを託す限り、私たちの人生は何の保証もない不確かな未来に握られることになります。それは正に文字通りの依存です。
それでは、この厳しい現実を突きつけられた私たちに「希望」はあるのでしょうか。希望という言葉を先ほどの意味に置き換えてみるとわかりやすいかも知れません。
「私たちに明るい見通しはあるのか?」
アラノンはこの問いに対して、はっきりと肯定します。世界中のメンバーが自らの体験を通してそれを実証し、同じ問題を抱える人々に力と希望を伝えています。そして今こうして取り組んでいる12ステップは、私たちの明るい見通しの根拠であります。それでは、ステップ2の文言に入っていきましょう。
ステップ2:私達は自分より偉大な力が、私達を正気に戻してくれると信じるようになった。
STEP TWO: Came to believe a Power greater than ourselves could restore us to sanity.
前回の記事で紹介したアラノンのワークショップの中で、Aliceが言っていました。came to(するようになった)ということは、そこに「変化」があるのだと。つまり「信じない」から「信じる」への変化が「信じるようになった」ということです。何を信じるようになったのか?それが「自分より偉大な力が私たちを正気に戻してくれること」になります。
ここでのrestore(戻す)は、「return someone or something to a former condition, place, or position(誰かまたは何かを以前の状態、場所または地位に戻す)」という意味です。ステップ1では、私たちの狂気について考えました。長い間アルコホリズムの影響を受けたことによって、私たちの物の見え方、聞こえ方、感じ方はすっかり変わってしまった。しかもそれを自分では気がついていない。その狂気から、正気に戻されること。これが実現する見通しは非常に明るいということです。プログラムを続けるうちに、私たちの認識は少しずつ変えられていきます。正気に戻されていくのを感じます。でもそれは、私たちがアルコホリズムの影響を受ける以前の状態に戻るということでしょうか?アラノンメンバーの体験を聞いていると、そうではないことが分かります。どうやら正気に戻された私たちが発見するのは、もっと深く、もっと豊かな、私たちの想像をはるかに超えたものであるようです。
それでは次回、この思いもよらない変化を可能にする「自分より偉大な力」について考えます。