私には、父や夫が飲んでいる間にアラノンのプログラムを実践した経験がありません。12ステップをやることを決意したとき、すでに父は他界していたし、夫はソーバーでした。
アラノンメンバーの家庭の状況はさまざまです。飲んでいるアルコホーリクと共に暮らしている人、ソブライエティという家族の再生の中にいる人、アルコホーリクとは関わりのない生活を送っている人、ACとして生きている人。
新しくアラノンにつながる人の多くは、アクティブアルコホリズムの渦中にいます。その一方で、渦中にいながらアラノンのプログラムを実践しているメンバーの割合はあまり多いとは言えません。それが簡単ではないということは、理由の一つであるでしょう。同時に、アラノンにとっての解決が周りの環境によるものではないということも、別の大きな理由であります。
アラノンにつながることもさることながら、そういったさまざまな状況にある私たちが自分の問題を知ることは簡単ではありません。そうしてその解決を見つけ、求め、得ることはもっと難しい。アルコホリズムから回復するためのチャンスは、なぜかいつも私たちには計り知れない形で訪れます。
数日前、ある人が亡くなりました。その人と私の夫は何年か前に一緒にステップに取り組んでいました。けれども彼がアルコホーリクであると特定することができず、ステップワークは途中で断念することになりました。いろいろな問題を抱えていましたが、唯一彼が属すると考えられる共同体は、アラノン/ACでした。両親がアルコホーリクであったからです。私も一度アラノンミーティングで彼を見かけたことがあります。そこでの彼は、とても落ち着いた感じのアラノンメンバーに見えました。ところが外では、アラノンを激しく拒絶していました。暮らす土地、仕事、付き合う人々を変えては行く先々でAAメンバーの助けを求め、そして実際に多くの人たちが彼に手を差し伸べていたのです。
人間の力では足りなかった。アルコホリズムは、プログラムをやっている私たちの前に何度でもその姿を現します。アラノンを去っていく人の選択を、誰も責めることはできません。プログラムに留まり続けることは、プログラムにつながるよりも難しいのです。胸を締めつけるさまざまな出来事は、それでも私たちが知らなければならないことを告げていきます。
先週は私にそういった出来事が起こりました。そのことをスポンサーシップの中でひとしきり話した後、Path to Recoveryのステップ3の本文を読んでいました。
I can’t. God can. I’ll let Him.
こう書いてありました。「この出来事はユキさんのチャンス」とスポンサーが言いました。ここまで突き付けられて、やっとそれが自分のことなのだとわかりました。神がすべてか無か。神が存在するかしないか。私は前者を選びました。